君死にたまふことなかれ

ペンを持つ手

堺に宿院(しゅくいん)という地名が残っている。
市街地のほぼ中央の地区に、もと住吉(すみよし)大社の社領。近くには阪堺(はんかい)電軌の宿院駅がある。その駅から歩いてすぐのところに「さかい利晶の杜」がある。
「わび茶(わびちゃ、侘茶、侘び茶)」の完成者と言われる茶聖千利休「みだれ髪」などの歌集で知られる与謝野晶子の記念館だ。

チケット購入時に、コースを聞かれる。記念館の見学だけか、抹茶と和菓子付きか。受付越しに抹茶で休息している一団が見え、何となく誘うようだが、キッパリと300円 の見学コースを選択。
1階と2階のフロアに分かれているが、スペースとしてはかなりコンパクトだ。その分展示物も少なく、見学だけ目的となったら何となくもの足りないのじゃないだろうか。
講義室が2つあるから、そこでの集いもポイントなのかもしれない。

与謝野写真は晶子の書斎机とのこと。
襖の墨痕がまだ生々しい。経年の故か、千利休に比べて、与謝野晶子の方は生活の名残りの展示が少し多いようだ。
知られているように、老舗和菓子屋の「駿河屋」の娘だったことを偲ばせる生家の一部が作られ、垂れ下がった暖簾が好ましい。

気になっていて、念願叶った(少し、オーバー)わけだが、ズバリ一言”ハードもソフトも小ぶり”残念。
ただ、自慢(?)できることは、係員が沢山いること。順路を説明してくれる係員まで配置してくれているとは驚き。

2階の窓からは通りを隔てた千利休の生家が臨める。庭には見学者が5、6人説明者を囲んでいた。

帰途、以前好んで食べていたラーメン屋を見つけて、少し心が動いたが、時間を考えて素通りすることに。
きっと、近い内に行きそうな予感。