朝の決まり

お茶

ブロック塀が取り払われた小学校から、朝の元気な喚声が聞こえる。
通りがけに見ると、今日は、背番号をつけて、キックボールに興じていた。何をしても大声が出てしまうのが、この年代の決まりかもしれない。そんなに広くない校庭から湧き上がる喚声は4階建ての校舎に撥ね返って、丁度向かいの位置にあるこちら側に増幅されたように聞こえるのかもしれない。さっき見たら、ついこの前まであった花棚の小さなプランターの植栽がすべて片づけられていた。
冬が近いのだ。寒冷地ではないが、最近は寒暖が極端だから、用心が必要だろう。
ホイッスルの音が聞こえる。音が消えると一段と喚声が束になって襲ってくるようだ。

小学校の校庭に、大きなポプラの木があった。子供が3人くらい手をつないでようやく幹が抱えられるくらい大きな木だった。高さはどれくらいあったのだろう。子供の視線からするととんでもない高さだったとしか言いようのない高さだった。これが、2つ校庭の丁度区切りに立っていた。100m競争が直線で走れるくらいの広さの校庭とプールの横で少し小さ目の校庭。小さい方は、校舎と正対しているので、全校集会とかで生徒が整列するのに使われた。

風景小学校で一番思い出すのは、ポプラの木だったかもしれない。風雨の強い日などに大きく揺れる姿などは、窓越しでも悲鳴が聞こえるようで、恐怖したものだ。

数年前に訪れると、ポプラの老木はすでに切られた後だった。校庭も子供の頃より、随分狭くなっているように思われた。校庭の縁の雑草が伸び放題のようで侘しかった。

随分生徒数が減ったのだという。