りんごは本場

郷土玩具

とうもろこしは現地ではキミという。
品種改良で粒の揃った同じ色の立派なトウモロコシが湯がかれて1本250円。それを買ってぶらぶら隣の店を覗くと、生のトウモロコシが1本100円。どっちが度胸があるのか、なんの拘りも感じられない。
売れたらいいのだから、隣の値段なんかは眼中にない。リンゴが微かにメインにして、それこそ雑多なものが露店で売られている。空港から近いことや国道に面していることの地の利もあるのか、停車している車は多い。
並べられているリンゴを買おうとすると、奥から玄人風を吹かせて、中老の男が
「それだきゃ、めぐね。やこぐなってまいね」(それは美味くない。やわらかくなって駄目だ)
駄目なものを店頭に並べるな、と言いたいところだが。
「あげのいいが。へば、これだばどだ」(赤いリンゴがいいか?それなら、これならどうだろうか」
と、出してきた名前は知らないエース級の赤いりんご。これ以上話を聞いても意味がなさそうなので、即決、宅急便へ。
こんな応対は、数十年変わっていないような気がする。さすがの木箱で送ることはないが、小口の注文というより、10㌔とか5㌔単位の売買だ。大きな試食と呼び込みの声もない市場。

そこから20㎞あたりに、この平野の中心地、弘前がある。城があって、春には全国に知れた桜祭りが賑やかだ。何人かの文人を生み出した町でもある。
メイン通りから少し外れてと言っても市街地の朝10時前の写真。日曜日だから、起き出しが遅いのかもしれないが、すれ違ったひとは数人で、観光客が半数くらいか。
町の力を何で測ればいいのかわからないが、その切っ掛けさへ見つからないようなきがしてしまう。1家に数台あるという車も、日曜ということでほとんど走っていない。
何回も書くようにここは場末ではない。私が高校生のころは自転車で通学した道に近く、その頃は車を避けながら自転車を走らせた記憶がある。
ここも、ハードは整備されたが、その内実を支えるソフトはむしろ衰弱して、もう瀕死の状態なのかもしれない。

これは過疎ではないと思う。