春眠あかつき

ラーメン

そんな陽の中を電車が行く
眠くならない方が不自然というものだ。向かいの席では、ウトウトがぴったりの様で一人。
こんな情景だと時間も消えてしまう。でも、少し、腹が空いた

腹が空いたで思い出した。
20歳前のこと。10歳下の甥っ子と街中の食堂に入ったときのことだ。
外食など、今よりずっと珍しかったころの話で、値段も今の1/3くらいだったと思う。
甥っ子は”中華そば”
私は”親子丼”(そのころ、私は”中華そば”のにおいが嫌いだった)
珍しさもあって、それなりの満足で食べ終えたと思う。

「自分だけ、丼食べて」
数日経って、姉(かの甥っ子の母)が宣(のたま)う。
値段だけの問題じゃなくて、
甥っ子は、それこそ恨めしく私が食べている様を観察していたのだ。

ビルあの頃の”中華そば”と、今の”ラーメン”は全く違う食べ物のように思う。
ラーメン屋の看板は町中にあふれている。
でも、割と同じような感覚のラーメンがずいぶんと多いような気もする。
と言って、昔に”中華そば”が食べたいというわけではない。