そんな、酔狂な

ガラス

ほんの少しの違いのはず
黄色赤とんぼじっとしたまま明日どうする
”ふうてんの虎さん”の渥美清の俳句だ。
少し、仕事が立て込んでくると、追い立てられているようで、”じっ”と考える時間さえ勿体ないような気になるのが悲しい。
籠の底生きているのか甲虫
こんな心境とはほど遠いここ数日。

JR堺市駅のそばに”堺 アルフォンス。ミュシャ館”がある。チェコで生まれ、パリで有名になった画家だ。ミュシャの作品しか展示していない静かなギャラリー。
その時のこと。
フローが3つに分かれた展示館で、4階から降り、2階まで見ることになるのだが。私が行った時、4階の展示室は私一人であった。
ワンフロアーが小さい部屋に分かれていて、”順路”の貼り紙をたどって歩いてゆくことになる。
最初の部屋には、隅の方に、椅子に座った施設側の女性が控えていた。
過去に余り熱心に鑑賞したこともなかったこともあり、足早に次の部屋に移動。少し経って部屋の片隅を見ると、先ほどまで前の部屋にいた女性が椅子に座っている。
なんと、彼女は入場者が一人しかいないから、椅子を片手に私をつけてきていたのだろう。顔を合わせると笑ってしまいそうなので、目礼して次の部屋に行くことにした。

入場者より、職員が多いギャリー。
ゆったりしていいのだが、堺市の文化政策は”なるほど”と思えるようなポイントが少ないのが、ここだけではないような気がする。今秋、新しい施設ができるようだが、器自体も、もう少し”香”が欲しいところだ。

かたつむり千歩歩いて枝の先