ひさしぶり

庭

移動先からの電車での帰り
通路を隔てた向かいのシートでは、ツナギの作業着の男が居眠りを始めている。太い指が逞しい。
私に座るシートの車窓を見る。北に向かう電車の左側だから、西の方角になる。
夕焼けがうっすらと始まっていて、窓ガラス全体が色付いている。
こんな情景はいつ以来のことなのだろう。とつい、思いを辿ってしまう。
何とはなしに、仕事仕舞いの気になってくる。
うとうととして”小さい眠り”がピッタリの時間でもある。

桜
これは、場所違いですが

日中は、”こんな所でも…….”と思えるような狭い道をタクシーでクネクネ走り、辿りついたところには、早くも桜の匂いが。
空の色がそれに似合うような明るい青になっている。
葉をおとした黒い枝に蕾をつけて、アッいう間に花をつける桜は不思議な植物だと私などは思う。枝ぶりは決して美しいとは思えないのに、花をつけると怪しげだ。

故郷では”観桜会”と言って、一大イベントだった。それこそ、餅でも搗いて、うち揃って行列でも作ろうかというような勢いだった記憶がある。

久しぶりに、落語の”長屋の花見”でも聞いてみようか。